REPBUDDYのつるかわです。
先日、ツイッターでヤシガニのことで盛り上がったので私の飼育経験を自分自身復習の意味も込めてまとめてみようかと思います。
私がヤシガニに出会ったのは高校3年生のころ、沖縄に行った先輩からお土産でいただいた
(正確にいうと買って帰ったものの困っていたものを押し付けられた)のが始まりでした。
もらったヤシガニ
当時、昆虫や甲殻類がとても好きだった私にとってヤシガニは憧れの対象でした。
そんなヤシガニを飼育する機会に恵まれたわけですが、当時は飼育に関する情報がまったくなく、
脱皮せずに死んでしまう、餌はなんでも食べる、脱走の名人など大した情報は手に入れられませんでした。
♀の腹脚、これも図鑑やネットではなかなか知ることのできない情報のひとつ。
さて、そんなヤシガニを飼育するにあたって、高校生だった私が参考にしたのは、飼育していたオカヤドカリとカブトムシでした。
オカヤドカリは脱皮の際、細かい砂を掘り、空間を作って脱皮をします。またカブトムシも細かい土を固めて空間を作って蛹、成虫になります。
私はカブトムシを飼育するときのように、湿らせたピートをしっかりとつめていき空間を作らせることができればいいのではないかと推測しました。
なぜ土かというと、生息環境を調べ、どうも海岸の洞窟や海岸林で生活してることがわかりました。
脱皮の時期になると、洞窟や土に潜って脱皮をするらしい、とわかったので土に潜って脱皮させようと挑戦することにしました。
問題は深さでした。ヤドカリであれば数センチで足りますが、ヤシガニの巨大な体を隠すことができる深さにするには、工夫が必要でした。
行き着いた形は衣装ケースを二つ使って加工した入れ物でした。これであれば深さを50cmほど確保でき、脱走も防ぐことができます。
下の部分に、ピートと保湿のためにミズゴケを混ぜたものを湿らせながらしっかりとつめました。
さて、完成したヤシガニハウスに引越しさせたヤシガニの飼育は順調でした。
温度は25℃前後、湿度は70%前後、これもオカヤドカリの飼育適温を参考にしました。
加温はエアコンとパネルヒーターを使用。
餌には主に熱帯魚の餌(肉食魚用、草食魚用、クリルなど)を使っていました。
脱皮前になると、腹部がぱんぱんに膨れ、餌も食べなくなります。
そうなると潜ってしまって出てこなくなります。それから2ヶ月ほどして、我慢できず掘ってみたところ・・・
推測は当たっていました、ヤシガニは脱皮のための空間を作りその中で脱皮していました。
掘った時には脱皮も済んでおり、体も固まっていました。
その後、その個体は1年半ほど飼育していましたが、2回目の脱皮は成功せず、死んでしまいました。
脱皮後、色が赤っぽく変色した。恐らく土の影響だと思われる。
それから数個体飼育しましたが、うまくいかずいい結果を得られませんでした。
社会人になってからも1匹飼育しましたが、長生きしなかったです。
最後に飼育してから2年ほどたちますが、今年飼育する機会に恵まれそうなので、準備を進めています。
カメレオンと同時進行なので、ちょっとばたばたしますが、環境つくりが大事な生き物というところは共通してます。
しっかりと、生息環境を理解し長生きさせられるようにしたいです。
いまでは脱皮のことや、餌のことなどかなりいろんなことが明らかになってきているので、それを参考にしつつ飼育を確立させたく思います。
ヤシガニの飼育に関して
恐らくこれが良いだろうと思われていること
・高温多湿を好む(20~30℃、湿度70~80%)水びたしだと不衛生になりやすいので注意。数時間程度であれば10℃ほどでも耐える。35℃を超えるような高温には弱い。
・サンゴ砂をしいてシェルターを用意してやれば、観察できるような状態で脱皮するので砂の深さや大きなシェルターは必要ない(もちろん脱皮が近くなれば安静に)
・食性は雑食、なんでも食べるのでいろんなものをバランスよく与える。海水からミネラルを摂取するのでたまに与えると良い。
・立体活動が得意なので、脱走されにくい背の高い水槽やコンテナボックス、衣装ケースなどが飼育に向いている(蓋もしっかり閉めることができればベスト)
「ヤシガニ会」
最初の脱皮に成功したころ、ヤシガニ会という集まりを知り、参加することにした私は衝撃を受けました。
会長をはじめ10名ほどの愛好家達がヤシガニを飼育していたのですが、
なんと、植木鉢を倒しただけのシェルターで脱皮するヤシガニの写真や、砂の上で脱皮するヤシガニの写真があるのです。
ヤシガニは適度な湿度があれば簡単なシェルターで脱皮するということを知ったのです!!
ヤシガニ飼育の奥深さを知り、会合に参加すること数回・・・ヤシガニ愛好家や甲殻類研究の専門家と意見交換をしながら、
いまは次期会長候補として、ヤシガニの保全活動に参加しています。
2月末の沖縄旅行(ツイッター参照)も実はこのヤシガニ会議に出席するためのものなんです。
ヤシガニは食べても美味しいです♪
海と山が必要なヤシガニを守ることは、綺麗な海と豊かな山を守ることに繋がる、ヤシガニが以前のように増えれば島の特産物になり、
利益が出れば保全にもっと力がはいり、環境保護におのずと繋がると会長や幹部の方たちは信じています。
私は生き物のプロとして、ペットとしての流通や飼育技術の確立も役目だと思っております、飼育なくして養殖や管理もできないですから。
また職業柄、水族館のスタッフとのコネクションなんかも生かしていこうと模索中。。。
今年は夏に、南西諸島に生体調査へ行くので乞うご期待♪
追記
それから・・・
ヤシガニの飼育を8月より始め、この10月末、砂上脱皮しましたのでその様子をご紹介します。
現在の飼育環境
水槽…アクリル水槽60×45×45
保温…側面パネルヒーター
温度…28℃湿度70〜80%
底砂…サンゴ砂
日々の世話…一日置きに霧吹き、数日に一度の水入れの水交換
餌…2日に一度、乾燥クリル、バナナ、アジの切り身、海ぶどう
脱皮について脱皮1ヶ月前
餌を積極的に食べ、動きも活発。
腹部は日によって膨らみが変化する
脱皮2週間前
餌を食べなくなり、動きが怠慢になる。腹部は膨らんだまま変化せず。
脱皮数日前
触ってもわずかにしか動かなくなる。知らずにいると死にかけのようにも思える(実際に私は状態が悪いのかと疑った)
関節にも力も入っていない。だらっと寝そべるように見えることも、この状態になれば数日のうちに脱皮するであろう。
脱皮初日
色は白っぽい青にピンクの部分も見える。まだ体が固まっていないのでわずかにしか動かない。時より姿勢を変える。
脱皮後~3日
日に日に殻の色が濃くなっていき姿勢もしっかりしてくるが、まだうずくまったまま動かない。
2日目
3日目
See you again♪
みんなの相棒、REPBUDDYでした。
2019年7月店舗にて小型個体の脱皮に成功しました!下記動画をぜひご覧ください。
実際の飼育の様子を動画にされているのでそちらも併せてどうぞ♪
沖縄よりこんにちは
参考になります 明日から捕獲したものを譲り受けて
ヤシガニ飼育します
衣装ケースに横 下 通気口を開けて
上は網を張ろうかなと思っています
色々教えてください!
やんばる様
明日より飼育されるということで、楽しみですね。沖縄であればほぼ常温で飼育出来るのではないでしょうか。衣装ケースで飼育されるなら網を張らずとも、穴を少し大きめにしたり、数を多くあけるほうが、湿度を保てますし、網をこじ開けられる心配も少なくなって良いかも知れません。参考になれば幸いです。何かあればお気軽にどうぞ。
素晴らしい記事だと思います。
私もヤシガニに興味はずいぶん前から持っておりましたが、脱皮の方法が確立されておらず諦めております。
飼育したいなとは思いますが、沖縄の水族館等ではどうしてるのでしょうね。
もしかしたら、タランチュラとかサソリ、あるいはクワガタ等の愛好家の知恵を借りたら方法が見えてくるかもしれませんね。
ありがとうございます、脱皮はヤシガニ飼育の1番の難所ですね。美ら海水族館では、砂上脱皮させているみたいです。余裕ある飼育スペース、高温多湿で静な環境が望ましいのかもしれませんね。
3日前から沖縄でヤシガニの飼育実験をしています。ヤシガニの飼育について細かく記載されており、今後の飼育観察に活かせそうです。
記事を読んで一つ、質問があります。
餌はどの程度与えるのが適正でしょうか?
教えて頂けると幸いです。
コメントありがとうございます、恐れ入ります。餌は腹部の膨らみや食いつきを見ながら、小型(~1キロ)であれば毎日、大型であれば数日に1度で良いかと思います。ご参考になれば幸いです。
最近まで400gほどのヤシガニを飼育しておりましたが泡を吹きながら自切して死んでしまいました。
原因が分からないまま死んでしまったので何か知恵を頂きたいとコメントさせていただきました。
私はエアコンを使い始めた時から体調を崩し始めたので温度変化が原因と考えています。
お問い合わせありがとうございます。まず泡を吹く原因ですが、恐らく水分が不足していたと思われます。呼吸にも水が必要ですので、体が浸かるくらいの、大きめの水入れがあると良いです。次に自切ですが、不衛生な環境やストレスなどが原因になることが多いです。容れ物は清潔に保ちつつ、普段はストレスにならないよう、シェルターの設置や触らないといった対策が良いでしょう。簡単にはなりますが、ご参考になれば幸いです。
先日から6cmの子の飼育をはじめました
ヒュードラ3120ケージにシェルター、
水入(海水)、餌入れで飼育しています。
同ケージで多頭飼いは可能ですか?
シェルターから夜中にならないと出てきません‼︎
お問い合わせありがとうございます。多頭飼育ですが、お勧めしません。喧嘩や脱皮時の共食いの恐れがあります。シェルターから全く出てこないのであれば脱皮が近いのかも知れません。様子を見てあげて下さい。
多数飼育しようとしたら
大きなヤシガニが小さいヤシガニの
足をチギってしまいました。
単独がオススメかなと
度々すみません。
霧吹き、水入れは常に海水で良いのでしょうか。
海水はミネラル分の補給程度で普段は淡水の方が良いです。
中学2年です。
今僕の部屋で15種類70匹以上の生物がいます。そして、ヤシガニ飼育を試みたいと思っていますが、沖縄の気温、湿度はもちろん沖縄の住んでいる場所を真似てみたいと思ってます。まず、サンゴ砂が入ったプラケと人口芝の結構リアルな奴が入ったプラケを行き来できるようにして、又、2,3
日に一度家にある丸太?のようなものがあり、50㎝位の長さがあるので、そこに掴まらしといたらいいのでは?と思っております。上の件については、そんなんいいやろ?と思うかもしれないけど、より、自然を再現する事でもしかしたらいい効果があるとおもったのです。
ちなみに、人口芝のしたには、ミズゴケを敷こうと思ってます。湿度をたもつため、、何か改善点などは、ありますか?
出来れば返信して欲しいです。
長文失礼しました。
ヤシガニの飼育において、自然環境を再現するのは一番大事なことになります。
可能であれば現地でどんな場所でどんな風に活動しているか、
見て来てもいいかもしれませんね。
温度や湿度は飼育しながら改善していくのが良いかと思います。
無事に飼育できることを祈ります。
はじめまして、とても参考になる文でした。
よくヤシガニに大切なのは湿度湿度と言いますが、分かっていても結構死んでしまう個体がいるのが不思議で、問題は湿度だけでは無く、運動不足なのではと考えています、もしお時間ありましたら、この考えに何かアドバイスなど貰えますでしょうか、周りには誰もいないので、
初めまして、運動不足の件ですが、それもあり得ると思います。本来登ったり掘ったりとかなり力を使う生活を送っている生き物のはずなので、ケージが狭すぎたりすると良くないかもしれませんね。脱皮の前後は狭くても大丈夫ですが、それ以外は広いところで飼育するのも良いかもしれません。参考になれば幸いです。
ありがとうございます
はじめまして。youtube動画で知って以来、ツルカワさんのブログその他読み漁っております。
お迎えして10日ほどのヤシガニ(350gオス)がいますが
運悪く(良く?)、環境にも慣れてくれていない日数で脱皮の兆候が見られます。
現在、ツルカワさんの特集を参考に気温27度、湿度70~80%を維持しており、食事は毎日、水も飲んでいます。
今からでも海水を少しでも与えた方がいいでしょうか?
脱皮はヤシガニ飼育の1番大事な部分なので緊張しますね。もし飲みそうなら海水を用意しても良いと思います。各種ミネラルの他、カルシウムも補給出来るので、天然海水やサンゴ用の人工海水などがお勧めです。参考になれば幸いです。
はじめまして、日曜日からヤシガニ飼育を始めた者ですが、昨日餌の交換ついでにヤシガニを触ったら全く反応せずにいたので暖かい場所に置いていたのですが、見る度に位置が変わってたのでつついたら動いたので、もしかしたら脱皮の予兆か?と思っていたのですが、死にかけてるんですかね?
一応、甲羅に段差ができていますが腹の膨らみ具合はそこまでですね。
お問い合わせの件ですが、脱皮の前だと腹部はかなり膨らみ、餌も食べなくなります。活発に動かないのであれば弱っている可能性もありますね。温度と湿度を高めにして様子を見てあげて下さい。
ヤシガニの餌ですがバナナと煮干しををあげているのですがアダンの実も食べると言われているので取りに行ったのですがこんな固い実も食べるんでしょうか?
アダンの実についてですが、熟れて黄色くなると果肉の部分は多少柔らかくなった覚えがあります。固い部分も割って食べることもありますが、バナナや煮干しなど他に餌を与えてもらっているなら、積極的に割ることも少ないかもしれません。参考になれば幸いです。